■「腐る喜び展」とは

「腐る」という現象がある。なにかモノが腐ることについて、一般的にどんな印象があるだろうか。臭い、汚い、虫が湧いて気持ち悪い。そんな印象を抱く人が多いのではないかと思う。確かにそれは間違いではないが、私は「腐る」という現象に神秘的なものを感じてならない。この地球上では様々なものが絶えず循環している。季節の循環、水の循環、命の循環など、多くの循環によって世界はバランスを保っている。「腐る」ことはそれらの循環の中でとても大切な役割を担っているように思う。「あるものが別の何かへと生まれ変わること」それこそが「腐る」ことだと私は考える。命あるものは死んで「腐り」土になる。そうしてまた別の命につながることができる。土も人も動物も植物も、みんなばらばらに「個」として生きているようで実はみんな循環の環の中にいて、「全て」を作り上げている。

私は身の回りにある循環を見つけることができ、自分がその一部であることを感じられた時、世界に対して広い視野で関わることができるようになり、心が軽くなった経験がある。その時、人間社会で認められないと生きることができないこと以外の選択肢を知ることができた気がした。自然がある種の承認欲求を満たしてくれたのだろうと思う。身近な循環に気づくことや、自分が少しでもその中に入っていること、そのことを日常的に感じられるようになったら、きっと人の心はより豊かになるのだろうと思う。今回の展示では私が今まで流れながら見つけてきた循環を展示していきたいと思う。私の作品たちがいろんな方々の目を通して、その人たちの中で「腐り」また次に繋がっていくことを願って。

この度初個展である「腐る喜び展」を開催させていただきます。

個展期間中にイベントをいくつか開催予定です。（もしかしたらゲリラ的に行うこともあるかもしれません。その場合はこちらのページやSNSの方で改めて宣伝させていただきます。）

松本は全日在朗予定なので、皆様気軽にお話しましょう。

■場所について

2023.09