「死離滅裂」

いつもの東京。

しかし少しの変化があった。

とある高層ビルが、「改修」されたのだ。

いや、「改修」という表現が正しいかは定かではない。

なぜなら半壊した廃墟のようにも見えるからだ。

建物は自然に飲み込まれ、かろうじてビルの姿を保っている。

まさに異様な光景…。


ここはかつて霞ヶ関ビルと呼ばれていた建物。

建物には住人もおり、どうやら1つのコミュニティが形成されているようだ。

建物は土に覆われ、そこには皇居から来たであろう生き物や、その他多くの生き物も生息している。樹木は樹木葬によって植えられたもので、一本一本が墓標の役割を果たしている。

ビルの住人以外の人も利用しに来るらしい。

自然に還れる墓地として、また、都市の墓地不足問題にも対応しているようだ。


建物内では貨幣経済からは少し離れた生活が行われているようだ。

野菜などはビル内で生産。家畜も育てている。

ここでは命の循環が可視化されている。

少しギョッとするが、生きるために他の動物の命を奪うことを肌で感じることができる。

ここには死がとても近くにある。

人間も自然の一部であることを思い出せる、そんな場所であった。




「死離滅裂」

2018年 鉛筆画

1189×1682㎜

ターゲット:霞ヶ関ビル






Atelier BOOOM!

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